はじめに
みなさま、土地の価格の調べ方について疑問に思った事はないでしょうか?実は筆者自身、持ち家が良いか、賃貸が良いかの個人的な意見を書かせていただきましたが、持ち家として購入する場合でも売った場合どのくらいの価格になるのかは調べておきたいと思っていたところです。
また、以前賃貸価格が適正なのか不動産屋と交渉する上で土地価格を調べようと思った時に、何だか難しくて途中で算出するのをあきらめた事と、土地価格を教えますという記事を読んでいったら、結局既存の不動産屋のサービスに登録する為の導線であり、結局価格について知ることができなかった苦い記憶がありました。
そんな当時の筆者にもアドバイスできるように、この記事では、土地の価格を調べる具体的な方法を5つご紹介し、それぞれのメリット・デメリット、そして調べる際の注意点まで詳しく解説します。不動産初心者の方でも理解しやすいよう、専門用語も分かりやすく説明していますので、ぜひ最後までお読みください。
土地価格の基本知識
土地の価格を正しく理解するためには、まず「土地価格の種類」について知っておく必要があります。日本では、用途に応じて4つの異なる土地価格が存在します。
①公示価格
公示価格とは、国土交通省が毎年1月1日時点で発表する土地の価格で、土地取引の指標となる最も信頼性の高い価格です。全国約26,000地点で調査され、一般的な土地取引の目安として広く利用されています。
②基準地価
基準地価とは、都道府県が毎年7月1日時点で発表する価格で、公示価格を補完する役割を果たします。公示価格の調査対象外の地域もカバーしており、より詳細な価格動向を把握できます。
③路線価
路線価とは、国税庁が毎年1月1日時点で発表する価格で、相続税や贈与税の計算に使用されます。公示価格の約80%の水準に設定されており、税務申告の際に重要な指標となります。
④固定資産税評価額
固定資産税評価額とは、市町村が3年ごとに見直す価格で、固定資産税の計算基準となります。公示価格の約70%の水準に設定されており、毎年送付される固定資産税通知書で確認できます。
土地価格を調べる5つの方法
公示価格・基準地価を調べる
公示価格(①)と基準地価(②)は、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で無料で調べることができます。このシステムでは、住所や地図から該当地域の価格情報を検索でき、過去数年間の価格推移も確認できます。
調べ方は簡単です。まず、国土交通省の土地総合情報システムにアクセスし、「地価公示・都道府県地価調査」を選択します。次に、調べたい地域を都道府県、市区町村の順に絞り込み、住所や地図から具体的な地点を選択します。

この方法のメリットは、国が発表する最も信頼性の高い価格情報を無料で入手できることです。ただし、調査地点は限られているため、調べたい土地の近くに調査地点がない場合もあります。その場合は、最寄りの調査地点の価格を参考に、立地条件の違いを考慮して推定する必要があります。
路線価を調べる
路線価は、国税庁の「路線価図・評価倍率表」で調べることができます。路線価は道路に面した土地の1平方メートルあたりの価格を千円単位で表示しており、相続税の計算などに使用されます。
調べ方は、国税庁のホームページから「路線価図・評価倍率表」にアクセスし、該当年度と都道府県、市区町村を選択します。その後、地図上で調べたい道路を探し、道路に記載されている数字が路線価となります。

路線価の利点は、ほぼすべての道路で価格が設定されているため、より具体的な価格を知ることができることです。しかし、路線価は相続税計算用の価格であり、実際の取引価格とは異なることを理解しておく必要があります。一般的に、実勢価格は路線価の1.25倍程度とされています。
固定資産税評価額を調べる
固定資産税評価額は、毎年送付される固定資産税・都市計画税納税通知書で確認できます。この通知書には、土地の評価額が詳細に記載されており、所有している土地の税務上の評価を知ることができます。
自分が所有していない土地の固定資産税評価額を調べる場合は、市町村役場で「固定資産評価証明書」を取得する方法があります。ただし、この証明書は一般的に土地の所有者や相続人、法定代理人などしか取得できないため、利用には制限があります。
固定資産税評価額のメリットは、所有している土地であれば簡単に確認できることです。一方で、評価額は3年ごとの見直しのため、最新の市場価格を反映していない可能性があります。また、実勢価格は固定資産税評価額の約1.4倍程度とされています。
実勢価格を調べる
実勢価格とは、実際に土地取引が行われた価格のことで、最も現実的な価格情報です。国土交通省の「不動産情報ライブラリ」の不動産取引価格情報検索で調べることができます。
この機能では、過去の実際の取引事例を検索でき、取引価格、土地面積、最寄り駅からの距離、取引時期などの詳細な情報を確認できます。同じ地域の類似した条件の土地取引事例を複数確認することで、より正確な価格相場を把握できます。

実勢価格の最大の利点は、実際の市場価格を反映していることです。しかし、個別の土地の条件(形状、接道状況、地盤など)によって価格は大きく変動するため、複数の事例を比較検討する必要があります。
不動産会社に相談する
不動産会社に相談するという選択肢も念のためご紹介しておきます。恐らく不動産会社に行って相談しに行くと、何か追加の提案だったり、営業がかかるのでは?というような億劫さがもしかしたらあるかもしれません。ですが、もし実際売る事を検討していたりですとか、真剣に家の購入、購入後の売却などを視野にいれている場合は、地域の不動産会社に相談することも、土地価格を調べる有効な方法です。
賃貸契約時も実施しましたが、不動産会社に相談する際は、複数の会社から意見を聞くことをお勧めします。会社によって得意分野や査定方法が異なる事や、自分が相談しやすい担当者様など相性もございますし、お医者様のセカンドオピニオンのように価格帯の情報をより正確なものとして把握する事ができます。
ただし、不動産会社の査定は売却を前提とした価格である場合が多く、購入者側の立場では高めの査定となる可能性があります。また、会社によって査定額に差が生じることもあるため、複数の意見を参考にすることが重要です。
インターネットで簡単に調べる方法
現在では、インターネットを利用して手軽に土地価格を調べることができます。最も信頼性が高いのは、国土交通省が運営する「不動産情報ライブラリ」です。このサイトでは、地価公示、都道府県地価調査、実際の取引価格など、土地価格に関する包括的な情報を無料で提供しています。
使い方は直感的で、地図上で調べたい地域をクリックするだけで、その地域の価格情報が表示されます。また、過去数年間の価格推移もグラフで確認できるため、価格トレンドも把握できます。
その他にも、民間の不動産情報サイトでは、AI技術を活用した価格推定ツールも提供されています。これらのツールは、周辺の取引事例や地域特性を分析して、自動的に土地価格を推定します。ただし、これらは参考値として活用し、正確な価格については公的な情報源で確認することが重要です。
土地価格を調べる際の注意点
土地価格を調べる際は、いくつかの重要な注意点があります。まず、前述した4つの価格(公示価格、基準地価、路線価、固定資産税評価額)は、それぞれ異なる目的で設定されているため、用途に応じて適切な価格を参照する必要があります。
実際の取引価格は、これらの公的価格とは異なることが多く、一般的には公示価格の±20%程度の幅で変動します。地域の人気度、土地の形状、接道状況、周辺環境などによって価格は大きく変わるため、画一的な判断は避けるべきです。
また、土地価格は時期によって変動します。経済情勢、金利動向、地域開発計画などの影響を受けるため、調べた価格はその時点での参考値として理解し、最新の市場動向も併せて確認することが重要です。
さらに、土地の個別要因も価格に大きく影響します。例えば、同じ地域でも角地と中間地では価格が異なり、道路の幅員や地盤の状況によっても価格は変わります。これらの要因を総合的に考慮して価格を判断することが必要です。
まとめ
土地価格を調べる方法は複数あり、それぞれに特徴とメリット・デメリットがあります。公示価格や基準地価は信頼性が高く、路線価は税務計算に、固定資産税評価額は税額計算に使用されます。実勢価格は最も現実的な価格情報を提供し、不動産会社からは実践的なアドバイスを得られます。
最も効果的なアプローチは、これらの方法を組み合わせて使用することです。まず公的な価格情報で大まかな相場を把握し、実勢価格で市場動向を確認し、最後に不動産会社で専門的な意見を聞くという流れがお勧めです。
土地の価格調査は、適正な価格での取引を実現するための重要なステップです。この記事で紹介した方法を活用して、納得のいく土地取引を実現してください。時間をかけて慎重に調査することで、後悔のない土地取引が可能になります。
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